「仕事に飽きた」は、やる気が落ちたサインではなく、同じ一日を去年より少ない注意で回せるようになったという慣れの記述なのではないか。ここで言い切らずに書くのは、これが研究データではなく、僕自身の経験から来ている僕の整理だからです。この読み替えを採るなら、慣れた分だけ頭の中にキャパが空いているはず。だから最初の一手は転職の検討ではなく、空いたキャパに何を入れるかを決めることになります。入れるものは3つで足ります。人と会う/本を読む/本当に求めていることを書き出す。ただし、つらさが長く続いたり体調に出ているときは別の話で、専門の窓口へ相談してください。
「飽きた」を言い換えると、注意が余っている状態です
「仕事、飽きたな」が来るのは、仕事が減ったときではありません! 同じ仕事にかかる注意が減ったときです。
この感覚に世の中がよく返す答えは2つあります。ひとつは「それは甘えだ」。もうひとつは「飽きたなら転職のサインだ」。どちらも途中までは当たっています。飽きたまま何年か過ぎることもありますし、環境が合っていないなら移るのが正解の場面もあるからです。
「自分の熱量が落ちた証拠」という受け取り方は、いまも根強くあります。だからこそ、この記事はその受け取り方を否定するところからは始めません。
ただ、ここに1つ抜けている読み方がある、と僕は考えています。飽きが来るまでには、「慣れる」という工程が挟まっているのではないかということです。入社初日に飽きる人は、僕はまだ見たことがありません。手順を覚えて、判断が速くなって、同じ一日を少ない力で回せるようになった人が到達しやすい場所が「飽きた」だ、というのが僕の整理です!
そして、慣れは学習の結果であって、劣化ではありません。ここを減点として扱うのをやめると、見え方が変わります。空いたのは時間ではなく、注意のキャパなのではないか。 これはデータで証明できている話ではなく、僕はいま、この読み替えで自分の状態を整理しています。
そのうえで、「飽きた」という言葉を一度置いて、「同じ一日にかかる注意が減った」と言い換えてみてください。すると、次の問いが自動的に立ち上がります! 余った注意を、どこへ向けるか。 この記事はここから先だけを扱います。
「飽きた」の正体を、僕は4つに分けて整理しています
同じ「飽きた」でも、中で起きていることは1つではありません! 僕は、人と話してきた中での自分の整理として、4つに分けて見ています(学術的な分類ではなく、僕の作業仮説です)。自分に近いものを1つ選ぶと、次の一手が変わります。
選び方は簡単です! 「手が勝手に動く」なら慣れ型、「やり方まで決まっている」なら裁量不足型、「何のためかが言葉にならない」なら目的の不在型、「半年前と同じ顔ぶれ」なら相手固定型です。
| 型 | 自分の中で起きていること | 次の一手 |
|---|---|---|
| 慣れ型 | 手順を覚え、同じ仕事にかかる注意が減った。手が勝手に動く | 空いた注意へ、会社の外の入力を1つ足す |
| 裁量不足型 | やり方まで決められていて、自分で選ぶ余地がほとんど無い | 決めていい範囲を1つだけ増やす相談をする(進め方・順番・道具のどれか1つ) |
| 目的の不在型 | 回っているのに、何のためにやっているかが言葉にならない | 本当に求めていることを、自分の言葉になるまで書き出す |
| 相手固定型 | 関わる人が半年前と同じ顔ぶれで、新しい情報が入ってこない | まだ知らない仕事をしている人に、1人だけ会いに行く |
表の要点はここです! この整理では、4つとも能力が落ちた話でも熱量が消えた話でもありません。動いていないのは注意の向け先・決められる範囲・関わる相手のどれかで、そこは自分の側から動かせる、と僕は見ています。
きれいに1つへ収まらない場合もあります。慣れ型と相手固定型が同時に来ることは普通にありますし、その場合は片方から手をつければ十分です。4つ全部を同時に解こうとしなくて大丈夫ですよ!
僕は社会人3年目に、会社の外を1つ足しました
ここから先は、僕自身が通った順番の話です。
僕は2021年、新卒入社を機に石川県から東京へ移りました。同期との出会いに恵まれて、そこから他業界の人とも話して視野を広げたい気持ちが育っていきました。そして社会人3年目、仕事と東京での暮らしに慣れた頃に、「せっかく東京に来たなら、いろいろな人と会い、視野を広げたい」と動き始めたんです!
動き始めてから、人生の目的・目標がはっきりしたきっかけは3つでした。人と会う。本を読む。本当に求めていることを書き出す。 この3つです。
いちばん効いたのは、「こんな仕事があるんだ」という単純な発見でした! 知らなかった選択肢が増えると、比べる相手が社内だけではなくなります。その結果、会社での目標に加えて、会社という環境を活かしながら、自分が頑張る理由を軸にキャリアを設計するようになりました。
僕の座右の銘は「知らないと始まらない、知ろうとしなければ始まらない」です。この順番は今も変えていません!
ここで、この記事のいちばん大事な一文を置きます。「飽きた」で空いたのは時間ではなく注意のキャパで、注意は放っておくと社内の比較と不満のほうへ自動的に向かいます。 だから、向け先を自分で決めた人だけが、空きを次の材料に変えられる。僕はそう見ています。
なお、ここまでは僕1人の経験であって、n=1です。すべての職場・すべての人に同じ順番が効くとは限りません。 それでも、外の入力を1つ足すという形自体は、業種も年次も選ばずに試せるはずです!
ちなみに「甘えなのでは」という問いには、こう答えています。甘えかどうかは、外からも本人からも判定できません。それより「同じ一日を、去年より少ない注意で回せるようになったか」を見るほうが確かめやすく、それは慣れの記述として読める、というのが僕の整理です。判定できない問いを抱え続けるより、動かせるほうへ手を伸ばすほうが早いです!
会社の中だけで解く経路と、外を1つ足す経路
4型のどれであっても、次に選ぶのは「どこで解くか」です! ここで経路が2つに分かれます。
| 観点 | 会社の中だけで解く経路 | 会社の外を1つ足す経路 |
|---|---|---|
| 最初にやること | 異動希望を出す・転職サイトに登録する・資格を検討する | 人に会う/本を読む/書き出す のどれか1つ |
| 判断に使う材料 | 社内で見えている選択肢だけ | 社内で見えている選択肢+社外で見えた選択肢 |
| かかるコスト | 手続きと決断がセットで来る(重い) | 1回の予定を入れるだけ(軽い) |
| 外したときの戻り方 | 環境ごと動くので戻りにくい | 入力を止めれば戻れる |
| 一年後に残るもの | 決めた・決めなかった、という結果 | 選択肢のリストと、自分の言葉 |
この表で言いたいのは、右の経路が偉いということではありません! 右が安く、先に置けるということです。左の経路は決断とセットで来るので、何を入れたいかが決まる前に動かすと、判断材料が足りないまま結論だけ出すことになります。
だから「飽きたなら転職すればいい」という答えにも、僕はこう返しています。転職は環境をまるごと入れ替える強い手で、効くのは何を入れたいかが決まっているときです。決まっていない段階で入れ替えると、同じ理由でまた飽きが来やすい。僕はそう見ています。転職を選択肢から外すのではなく、順番として右を先に置くという話です!
もう1つ正直に書いておきます。外の入力を足せば必ず答えが出る、ということではありません。 外を足すのは、答えが出るための材料を増やす行為であって、答えそのものではないからです。変わるのは結論の有無ではなく、結論を出すときに手元にある材料の量です!
今週の一手は、3つのうち好きな1つを1回だけ
やることはとても小さいです! 今週のうちに、3つのうち好きな1つを1回だけやる。 これで十分です。
- 人と会う:まだ知らない仕事をしている人にひとりだけ会って、「それ、詳しく聞かせてください」と聞く。
- 本を読む:今の仕事と関係ない棚から1冊選ぶ。最後まで読み切らなくて大丈夫です。
- 書き出す:本当に求めていることを、自分の言葉になるまで紙に出す。ひとりで完結します!
「会う相手が思い浮かばない」なら、それも含めて話すところから始めて大丈夫です。
3つ全部はやらなくて大丈夫です。人と話すのが得意でない人は、書き出すから始めて問題ありません! 最初の一手を「誰かに会う」に固定しないほうが、続きます。
そして、この一手が効かない場面も書いておきます。ここを知らずに使うと空回りするので、限定として明記します。
- 繁忙期で可処分時間が実際にゼロのとき:入力を足す前に、時間を確保するほうが先です。
- 裁量が構造的にゼロで、相談しても動かない環境のとき:この場合は環境を変える判断が先に来ます。外の入力は、その判断の材料集めとして使ってください。
- つらさが長く続いている・眠れない・体調に出ているとき:これは「飽きた」とは別の話です。ひとりで抱えず、産業医や社内の相談窓口、専門の医療機関など、専門家へ相談してください。
言葉の打算っぽさから考え直す筋道は「人脈」への苦手意識から考え直した記事に、書き出す作業そのものの手順はジャーナリングのやり方に、軸から設計する話はキャリア形成とはにまとめています。合わせて読むと、この一手の置き場所が見えるはずです!
「思っていたより地味だな」と感じたなら、それで合っています。飽きは、次の材料を取りに行っていいという合図です。 派手さがない代わりに、今週から打てます。
よくある質問
仕事に飽きたのは甘えですか?
甘えかどうかは、外からも本人からも判定できません。僕がおすすめしているのは「同じ一日を、去年より少ない注意で回せるようになったか」を見ることで、それは慣れの記述として読めます(僕の整理です)。慣れは学習の結果なので、減点として扱う必要はありません! 次に見るのは、空いた注意をどこへ向けるかです。なお、つらさが長く続いている・眠れない・体調に出ているときは飽きとは別の話なので、産業医や社内の相談窓口、専門の医療機関へ相談してください。
仕事に飽きたら転職したほうがいいですか?
転職は選択肢のままで大丈夫です。僕が置いているのは順番の話で、何を入れたいかが決まってから環境を入れ替えるほうが、決まる前に動かすより外しにくいという見立てです。だからこそ、まず材料を安く増やす一手(人・本・書き出す)を先に置くのをおすすめしています!
入社1年目でもう飽きました。早すぎませんか?
早い・遅いはありません。1年目でも、担当している範囲の中で手順を覚えきれば「慣れ」は来ます。見るのは年次ではなく、4型のどれに近いかです。1年目は裁量不足型と相手固定型が重なりやすいので、決めていい範囲を1つ増やす相談と、社外でひとりに会うの両方が効きやすい、と僕は見ています!
会社の外に足すものは、副業でなくていいですか?
大丈夫です! 副業は入力ではなく、もう1つの仕事として時間と責任が増える選択です。この記事で足すのは判断材料なので、人に会う・本を読む・書き出すで十分に成立します。副業を選ぶなら、材料が集まって「これを試したい」が決まってからのほうが、続けやすいです。
繁忙期で時間がないときはどうすればいいですか?
入力を足す前に、時間の確保が先です。可処分時間が実際にゼロの時期に3つの一手を無理に足すと空回りします。まず1回分の予定を置ける余白を作ってから、3つのうちいちばん軽いもの(多くの場合は「書き出す」)から始めてください。