プレイングマネージャーとは、自分の担当業務(プレイヤー)と、チームの成果を預かる仕事(マネージャー)を、同じ1日の中で両方持つ役割のことです! そのうえでこの記事では、役職名で決まるのではなく他人の締切を1つでも預かった時点で、この状態は始まっているという見方を置きます。ここから先は辞書的な定義ではなく、僕の現場での整理です。しんどさの本体は仕事量の合計ではなく、自分の仕事は今日の手の動きで進み、人の仕事は今日渡した情報が数日後に効いてくる。この時計の進み方が違う2つを、同じ時間帯に混ぜていることが正体だと僕は見ています。だから対処は「がんばる量を増やす」ではなく「時間を分ける」になります。
「量が2倍だから大変」は、途中まで正しいです
「プレイングマネージャーって、要するに2人分やる人でしょう」。この理解は、途中まで正しいです! 自分の担当業務は減らないまま、後輩からの相談・進捗の確認・他部署とのやりとりが足されます。1日は24時間のままなので、量は本当に増えます。
道筋を先に置きます。まず、量だけでは説明がつかない部分を見つけます。次に、その正体を1つの言い換えで取り出します。最後に、20代のあなたが今日打てる一手まで下ろします。
量だけの問題なら、解き方は単純です。残業を増やすか、人を増やすか、仕事を減らすか。ところが、量を減らしても消えないしんどさが残ります。ここがいちばん面白いところです。自分の作業がほとんど無い日でも、なぜか夕方には疲れている。逆に、人からの相談がゼロの日は驚くほど進む。この非対称に正体が隠れています!
役職名ではなく、預かっている「人の締切」の数で決まります
まず、思い込みを1つ外しておきます! ここから先の線引きは一般的な定義ではなく、僕の整理として読んでください。プレイングマネージャーかどうかは、肩書きでは決まらない、と僕は見ています。後輩の作業を「見ておきますね」と引き受けた。チームの提出物に自分の名前が入っている。誰かの手が止まったとき、最初に相談が来るのが自分になっている。役職はまだ無くても、このどれかが起きていたら、もう半分は入っています。
つまりこれは「なる/ならない」の二択ではありません。預かっている人の締切がいくつあるか、という程度の話です! だからこそ、20代のうちから当事者になり得ます。
| 観点 | プレイヤー | マネージャー | プレイングマネージャー |
|---|---|---|---|
| 1日の時間の使い方 | 自分の作業へ連続して使える | 人と話す時間が中心 | 両方が同じ日に細切れで入る |
| 成果の出どころ | 自分の手が動いた分 | 人が動いた分 | 自分の手と、人の動きの合算 |
| 成果が出るまでの時間 | 今日動かした分が今日出る | 今日渡した情報が数日後に効く | 今日と数日後が同じ日に混ざる |
| 詰まる場所 | 自分の手が足りない | 情報が自分に集まらない | 切り替えのたびに頭が戻らない |
| うまくいっているサイン | 締切に間に合っている | 相談が早い段階で来る | 作業の時間と、人の時間を分けられている |
いちばん効いてくるのは「成果が出るまでの時間」の行です。プレイヤーの仕事は今日の手の動きが今日の結果になり、マネージャーの仕事は今日渡した情報が数日後の結果になる。この2つが、プレイングマネージャーの列では1つのマスに同居しています。だから「詰まる場所」も、作業量ではなく切り替えへ移ります。
「プレイングマネージャー」と言わずに書くと、こうなります
この長い言葉を、ここから先は一度置きます! 代わりに使うのは自分の締切と、人の締切を、同じ1日で持つ人という言い方です。呼び方を変えると、中身がはっきり見えてきます。
この記事のいちばん大事な一文を置きます。研究データではなく、僕自身の現場から出てきた整理です。自分の仕事は今日の手の動きで進み、人の仕事は今日渡した情報が数日後に効いてくる。効き方の時間が違う2つを同じ時間帯に置くと、どちらも中途半端になる。僕はそう整理しています。
だから「量が2倍」だけでは説明が足りない、というのが僕の見立てです! 時計の進み方が違う2つの仕事を、同じ1日に混ぜている状態。そう捉え直すと、打ち手が変わります。
肩書きとしてそう名乗ったことはありませんが、代表としてチームの締切を預かりながら自分の実装もする、という状態は僕の日常です。iOSエンジニアとして手を動かしながら、自社サービス(Coelia HPとobata-tomu.jp)をAIを駆使してチームで設計・開発・運用し、都内で毎週イベントを開いています! サイバーエージェント時代には、ABEMA LiveのiOS開発を担当し、テックリードも経験しました。
僕の仕事のモットーは、不安を先回りして減らし、次の行動が自然に生まれる状態を設計することです。そして仕事は必ず自分事で引き受けると決めています! この2つを同時に守ろうとすると、今日の話のど真ん中に立つことになります。自分事で引き受けるほど自分の手が動き、先回りして設計するほど人のための時間が要るからです。
土台にしている考え方も1つ書いておきます。大学時代のチーム開発で出会った『Team Geek』のHRT(Humility=謙虚、Respect=尊重、Trust=信頼)です。人へ渡す仕事は信頼の積み上げなので、今日の手ごたえでは測れません。これが「人の仕事は数日後に効く」と僕が捉えている理由です!
ここで前提を1つ置きます。1日の目的は、全部を少しずつ進めることではなく、それぞれを進み切らせることだ。この前提を良しとするなら、混ぜるより分けるほうが合理的になります。全部に手をつけた実感のほうがほしいなら、話は変わります!
同じ構造は、Coeliaで毎週イベントを運営するときにも出てきます。当日その場に立って場を回す時間と、初参加の人が迷わない導線を先に作る時間は、別の仕事です! 導線づくりが効くのは当日ではなく1週間前です。
なお、ここまでは僕の現場での実感であって、n=1です。すべての職種・すべてのチームに同じ配分が効くとは限りません。 それでも「時計の進み方が違う」という見方自体は、業種を選ばずに試せるはずです。
潰れる経路は、だいたい同じ形をしています
時計の進み方が違う、と捉えたところで、混ぜたままにすると何が起きやすいかを順番で見ます! 先回りできる場所が具体になります。
| 段階 | 起きること | 先回りの設計 |
|---|---|---|
| 1. 速さで選ぶ | 自分でやったほうが速いので、自分で巻き取る | 「今日速いか」ではなく「来月も回るか」で選ぶ |
| 2. 判断が溜まる | 人が待っている判断が、自分の手元で行列になる | 判断を返す時間を、午前など決まった枠に置く |
| 3. 自分の作業が夜へ寄る | 日中が相談で埋まり、自分の作業が夜と週末へ移る | 作業に使う時間をあらかじめ確保し、その枠は相談を受けない |
| 4. 相談が来なくなる | 忙しそうに見えて声をかけられず、問題が遅れて届く | 相談していい時間帯を、こちらから先に宣言しておく |
この表で見てほしいのは、4段目が1段目の結果だということです。巻き取った本人が、いちばん最後に情報から遠ざかる。つまりこれは能力の話ではなく、順番の設計の話です。だからこそ、性格を変えなくても明日から手を入れられます。
ここで正直に書いておきます。時間を分ければ成果が出る、ということではありません。 分けるのは必要な条件であって、それだけで足りる条件ではないんです! 「分けても割り込みは来ますよね」という反論も、そのとおりです。
変わるのは、割り込みが来たときにどちらの時間を削ったかが自分で見えるようになることです。混ぜていると、削られた事実にすら気づけません。気づけると、翌週の枠の取り方を変えられます!
「人数が少ないチームなら、分けずに全部やるほうが速いのでは」という反論もあります。これも半分正しいです。ただ、僕の整理では分かれ目は人数ではなく、他人の締切を預かっているかどうかでした! 1人でも預かった瞬間から、この構造は始まると僕は見ています。
20代のあなたが今日打てる一手
一手は、あなたがどちら側かで変わります! すでに人の締切を預かっている人は、来週のカレンダーに判断を返す枠を1つだけ置いてください。返す時間を決めた瞬間、残りの時間が自分の作業として守られます。上司がプレイングマネージャーの人は、相談を「上司の人の時間」へ寄せて出す。ここから先はこの渡し方の話です。
具体の一手は、とても小さいです! 上司がプレイングマネージャーなら、相談を「上司の人の時間」へ寄せて出す。これだけです。
上司が忙しそうに見えて話しかけられない、という状態には理由があります。上司は自分の作業の途中で、頭を「人の仕事」へ切り替えるコストを払っています。だから、切り替えたタイミングに合わせて渡すと、同じ相談でも通り方が変わります!
渡す形も3つで足ります。
- 判断してほしいことを1つだけに絞ること
- 自分としてはこちらが良いと考えている、という案を添えること
- いつまでに返事があると間に合うかを書いておくこと
長い1on1を申し込む必要はありません。チャットの数行で成立します! 人と話すのが得意でなくても打てる形にしておくのが大事だと見ています。
そして、この一手が効かない場面も書いておきます。
- 立ち上げ期・役割がまだ固まっていない少人数のチーム:分けるより一緒にやるほうが速い時期があります。この段階では枠を作りすぎないほうが進みます
- 緊急対応が主業務の職種:障害対応や顧客対応の一次窓口は、時間帯を固定できません。この場合は分けるのではなく、対応が終わったあとに自分の作業へ戻れる余白を先に確保します!
- カレンダーの裁量が無い立場:まず上司と枠を合意するところからです。合意の無い枠は、初回の割り込みで消えます。
いずれ自分がその立場になったとき、捨てるものも1つだけ書いておきます。捨てるのは「自分でやったほうが速い」という手ごたえです。この手ごたえは正しいからこそ厄介で、正しさに従うほど1段目から4段目まで進んでしまいます!
役割と安心の設計はチームビルディングとは、属人化した仕事を人へ渡せる形に変える話は組織の仕組みをつくる力、この役割をキャリアのどこに置くかはキャリア形成とはにまとめています。
上司の時間の取り方が読めるようになると、相談が通りやすくなります! 通ると仕事が前に進み、次の相談も出しやすくなる。この順番で回り始めたら、自分の番が来ても慌てずに済みます。
よくある質問
プレイングマネージャーとは、結局どういう役割ですか?
自分の担当業務と、チームの成果を預かる仕事を、同じ1日で両方持つ役割です! そのうえで僕は、肩書きではなく他人の締切を1つでも預かったかどうかで見る、という整理をしています。
なぜプレイングマネージャーは忙しく見えるのですか?
仕事量が2倍だから、というのは半分の答えです。もう半分は、成果が出るまでの時間が違う2種類の仕事を同じ時間帯に持っているからだ、と僕は整理しています! 切り替えのたびに、頭を戻す時間がかかります。
上司がプレイングマネージャーで、相談しづらいときはどうすればいいですか?
判断してほしいことを1つに絞り、自分の案と、いつまでに返事が要るかを添えて渡してください。この形にすると、上司は切り替えのコストを1回で済ませられます。
まだ後輩がいない自分には関係のない話ですか?
そうとも限りません! チームの提出物に自分の名前が入っている、誰かの手が止まったとき最初に相談が来る、という状態なら、僕の見方では、もう人の締切を預かっている側です。
「時間を分ける」とは、具体的に何をすることですか?
僕がやっているのは、自分の作業に使う枠と、人の相談・判断に使う枠を、カレンダー上で分けて確保することです。判断を返す時間を午前など決まった枠に置く、作業の枠では相談を受けない、相談していい時間帯を先に宣言する、の3つから始められます! 分けると、割り込みが来たときにどちらの時間を削ったかが自分で見えるようになります。