内示とは、正式な辞令(発令)が出る前に、異動や昇進などの人事を本人へ先に伝える社内の連絡です! 辞令より前に本人へ届くのが内示、社内へ正式に示されるのが辞令、という順番になります。いつ出るか・どこまで話していいか・断れるかは、会社の就業規則と個別の雇用契約によって変わるため、この記事では断定しません。必ず自分の会社の就業規則と人事へ確認してください。そのうえでこの記事が扱うのは、内示から着任までを「結果を待つ時間」ではなく「自分で決められることを決める時間」に変える方法です。
内示は、辞令より前に本人へ届く連絡です
内示とは、会社が人事を正式に発令する前に、対象になる本人へ先に伝える社内の連絡のことです!
伝わり方は会社によって幅があります。上司から口頭で伝えられることもあれば、内示書という書面が渡ることもある。共通しているのは、まだ社内へ正式には示されていない段階の情報だという点です。形が違っても、受け取ったあとにやることは同じなので安心してください!
ここでいちばん混ざりやすいのが、内定・辞令との違いです。3つとも「決まったことの通知」に見えて、届く時期も、伝わる範囲も、確定の度合いも違います。ここを1回整理しておくと、もう迷わなくなります!
| 観点 | 内定 | 内示 | 辞令(発令) |
|---|---|---|---|
| いつ届くか | 入社の前 | 発令の前 | 発令そのもの |
| 誰に伝わるか | 本人(と採用担当) | 本人と、限られた関係者 | 社内へ正式に示される |
| 確定の度合い | 入社の約束として扱われる | 会社ごとの扱いによる | 会社の正式な決定として動く |
| 受け取ったあとにすること | 入社までの準備 | 確認と、着任までの準備 | 手続きと引き継ぎの実行 |
表を横に見ると、3つは1本の時間軸に並びます! 内定は入社の前、内示は発令の前、辞令は発令そのものです。内示が「非公式」と呼ばれるのは中身が曖昧だからではなく、まだ社内へ示されていない段階だからなんです。
だからこそ、内示を受けた直後にいちばん確認しておきたいのは、話していい範囲です。誰に話していいかは会社の運用によって違うので、ここも自分で判断せず、伝えてくれた上司か人事に確認するのが安全です。ここを最初にはっきりさせておくと、そのあとの数日がぐっと動きやすくなります!
「いつ出ますか」に、正直に答えます
内示がいつ出るかは、会社ごとに違います! 定義の上で確かなのは1つだけで、辞令より前に届くということです。
「一般的には◯週間前」と書いている情報も見かけますが、この記事では書きません。会社の慣行・異動の規模・転居の有無で幅があり、その相場観が自分の会社に当てはまる保証がどこにもないからです。そもそも、内示の出し方や時期を全社共通で定めた公的なルールは、僕が確認できた範囲では見当たりません。つまり内示の運用は、会社ごとの就業規則と人事の領域です。確かめる先は、自分の会社の就業規則と人事。ここがいちばん速い道です!
そして内示を受けたら、早い段階で確認しておきたいことが3つあります。
- 着任日:いつから新しい部署・勤務地になるのか
- 公表のタイミング:いつ、どこまで、社内外へ話していいのか
- 転居や通勤の変更:あるとしたら、手続きと相談の窓口はどこか
この3つは、会社が答えを持っている質問です。自分ひとりで考えて答えが出る種類ではないので、早く聞くほど後の予定が立ちます。検索で相場を集めるより、この3つを聞くほうが早く前に進みます。聞くこと自体に遠慮はいりません! 着任へ向けた準備の相談なので、伝えてくれた上司や人事にとっても、早いほうが動きやすい話です。
「断れますか」への答えは、この記事では確定できません
いちばん切実な問いにも、正面から答えます。内示を断れるかどうかは、会社の就業規則と個別の雇用契約、そして異動の内容によって変わります。 ここで「断れます」とも「断れません」とも書けません。
これは逃げているのではなく、書けないことを書かないという線です。勤務地が契約で限定されているのか、就業規則で異動についてどう定められているのか、その組み合わせで結論が変わるからです。ネット上の一般論を自分の会社の答えとして受け取ってしまうほうが、後で困ります。裏を返すと、あなたの会社での答えは、あなたの手元の書類の中にあります! 見に行けば輪郭は必ず出てきます。
土台になる公的なルールはあります。労働契約法(e-Gov法令検索)は、労働契約は労使の合意にもとづいて締結・変更する、という基本原則を定めています。だからこそ「合意の中身=あなたの雇用契約と就業規則に何が書いてあるか」で結論が変わるわけで、一般論の記事がここを代わりに確定することはできません。
確かめる順番も書いておきます。①雇用契約書に勤務地や職種の限定が書かれているか ②就業規則の異動・配置転換の条項に何と書かれているか ③今回の異動が転居や職種の変更を伴うか。この3つを手元にそろえてから人事へ相談すると、話が1回で進みます。
だからこそ、事情がある人ほど早めに伝えるほうが動きやすくなります! 健康のこと、家族のこと、契約上の勤務地のこと。感情としてではなく事情として伝えると、会社側も検討する時間を持てます。
そして、就業規則を読んでも判断がつかないとき、契約の内容そのものが論点になるときは、社内の相談窓口や、厚生労働省の総合労働相談コーナー(全国の都道府県労働局・労働基準監督署内などにある無料の相談窓口)、専門家へ相談してください。ここは僕の役割ではなく、公式情報と専門家の役割です。ひとりで抱えたまま決めなくて大丈夫! 頼れる先があること自体が、あなたの持っている選択肢の1つです。
ここまでが、検索して来た人が最初に知りたいことへの答えです! ここから先が、この記事でいちばん渡したいところです。ここから先は、その確認の返事を待っている間の時間の話をします。
内示から着任までは、待つ時間ではありません
内示が出てから実際に動くまでには、たいてい少し時間があります。この時間の使い方で、着任してからの数ヶ月がけっこう変わる、と僕は見ています。ここからが、いちばん手を動かせるところです!
先に、この記事のいちばん大事な一文を置きます。環境が変わるとき、あとから重くなるのは、決まったことの中身ではなく、決めていなかったことの数です。
これは僕の仕事のやり方の土台にもなっている考え方です。開発でもコミュニティ運営でも、判断の軸は同じところに置いています! 曖昧さを減らすことで、結果的に早く進む! 決めていない項目は消えてなくならず、あとで判断のコストとして戻ってくるからです。
僕は石川県から2021年に新卒で上京しました。住む場所も、周りにいる人も、同じタイミングでまるごと入れ替わる側を通っています。ただし、これは僕ひとりの経験です。異動の事情は人によって違うので、同じ順番が全員に当てはまるとは限りません。 いまは20代の人と1:1で話す機会が多く、環境が変わるタイミングの話を聞く側にいますが、そこでも事情はいつも1人ずつ違います。
そのうえで1つ、前提を書いておきます。内示から着任までの期間は、会社が準備するためだけの時間ではありません。あなたが次の環境で早く立ち上がるための時間でもあります。 この前提を良しとするなら、先に決めておくのは合理的な一手になります。
では、決めた場合と決めなかった場合で何が変わるのか。時間の流れで並べてみます!
| 場面 | 決めずに過ごした場合 | 先に決めておいた場合 |
|---|---|---|
| 内示を受けた直後 | 情報を集める時間が続き、自分の会社の答えには近づかない | 人事へ3問を送り、会社が決めることと自分が決めることを分ける |
| 数日後 | 気持ちの整理に時間が使われ、暮らしの段取りは手つかずのまま | 住む場所・通勤・お金の前提を仮でいいので置く。動ける範囲が見える |
| 着任の直前 | 引き継ぎが締切ぎりぎりに集中する。会っておきたかった人に連絡できない | 引き継ぎ資料が自分の棚卸しにもなっている。会いたい人に先に声をかけている |
| 着任して1ヶ月 | 新しい仕事の学習と、生活の立ち上げが同時に来る | 生活が先に立ち上がっているぶん、時間を仕事の学習へ回せる |
この表で見てほしいのは、右側が優秀だということではありません。同じ時間の使われ方が入れ替わっているだけです。左側は、着任後の1ヶ月に生活の立ち上げと仕事の学習が重なっている。右側は、生活を前倒しにしたぶん、着任後の時間を仕事へ回せている。総量は変わらず、順番だけが違います。
先に決めておくと、後悔の種類が減る3つ
具体的に何を決めるのか。3つに絞ります! 当てはまるものだけでいいです。
1つ目は、暮らしの段取りです。 住む場所、通勤の経路と時間、お金の前提。転居があるなら、家賃の上限を先に決めておくと物件を見るスピードが変わります。家賃の決め方そのものは手取り20万円の家賃目安と逆算3ステップに書いたので、そちらを土台にしてもらえたらうれしいです!
2つ目は、引き継ぎと棚卸しをセットにすることです。 引き継ぎ資料は、義務として書くともったいない。いま自分が何をどこまでやってきたのかを言葉にする作業でもあるので、書きながら自分用のメモを1枚つくっておくと、そのまま次の環境での自己紹介にも、将来のキャリアの記録にもなります。異動を自分のキャリアの流れの中に置き直す考え方はキャリア形成とはにまとめました。
3つ目は、人のつながりの持ち越しです。 ここがいちばん抜けやすくて、いちばん後から効いてきます。同じ会社にいても、部署が変われば会う頻度は自然に落ちます。だからこそ、着任前に会っておきたい人を3人だけ挙げて、先に声をかける。これだけで、つながりが「同じフロアにいたから」ではなく「自分で選んだから」に変わります。
3つ目を最初に手放しがちなのは、緊急ではないからです。暮らしと引き継ぎには締切があり、人に会うことには締切がない。だから後回しになって、そのまま流れます。締切が無いものにこそ、自分で日付を入れる。これが僕の一手です!
なお、ここは因果を強く書きません。段取りを済ませたから納得できる、というものではありません。変わるのは納得の度合いではなく、後悔の種類のほうだと僕は見ています。「あれを決めておけばよかった」が減る、という話です。
この一手が効かない場面も書いておきます
あなたの状況にちょうど合う形で使ってほしいので、効きにくい場面も正直に書きます! 万能ではないので、限定を明記します。
- 転居を伴わない部署異動のとき:1つ目(暮らしの段取り)はほとんど空になります。2つ目と3つ目だけで十分です。
- 内示から着任までがごく短いとき:3つは回りません。1つだけ選んでください。締切があるものから順に、で構いません。
- 内示の内容そのものに納得できないとき:これは時間の使い方の話ではなくなります。就業規則と人事、必要なら厚生労働省の総合労働相談コーナーや専門家へ。時間の使い方の工夫で埋める話ではありません
- 環境が変わること自体で消耗しているとき:段取りより先に休むほうが速いです。どれに当てはまっても、やることが減るだけで前に進む道は残ります! 立て直し方はレジリエンスとはに書きました。
よくある質問
内示と内定と辞令は、何が違いますか?
届く時期が違います! 内定は入社の前、内示は発令の前、辞令は発令そのものです。内示が非公式と呼ばれるのは、中身が曖昧だからではなく、まだ社内へ正式に示されていない段階だからです。詳しくは本文の表を見てください。
内示はいつ出ますか?
会社ごとに違います! 定義の上で確かなのは「辞令より前」ということだけです。相場を書いている情報もありますが、自分の会社に当てはまる保証はありません。就業規則と人事に確認するのがいちばん速いです。
内示は断れますか?
ここは断定できません。就業規則と個別の雇用契約、そして異動の内容によって変わります。労働契約法が定めているのは労使の合意という基本原則までで、あなたのケースの答えは契約と就業規則の中にあります。事情があるなら、感情としてではなく事情として早めに伝えてください。判断がつかないときは、社内の相談窓口や厚生労働省の総合労働相談コーナー、専門家へ相談するのが確実です。
内示を受けたら、まず何をすればいいですか?
会社に3問を送ることです! 着任日/いつどこまで話していいか/転居や通勤の変更と窓口の3つ。この3つは会社が答えを持っています。そのうえで、自分の側で決められる3つ(暮らしの段取り・引き継ぎと棚卸し・人のつながりの持ち越し)に手をつけてください。
内示のことを、友人や家族に話してもいいですか?
会社の運用によります! どこまで話していいかは、伝えてくれた上司か人事に確認するのが安全です。ここを自己判断で進めると、あとで気まずくなる場面が生まれやすいので、確認を1回はさむだけで十分に防げます。