ChatGPTやClaudeを毎日開いているのに、業務効率化を実感できない。メールの返信も企画書のたたき台も、AIに聞けば早く終わる感覚はあるのに、なぜか毎回同じ説明を一から入力し直している。そんな感覚を持つ非エンジニアの社会人は多いはずです。AIを使うことと、AIで業務を仕組み化することは、似ているようで別の話です。僕はエンジニア出身ですが、今はCoeliaの案内文やイベントページなど、営業・企画・広報に近い仕事の多くもAIで進めています。そこで気づいたのは、仕組み化は特別な技術より、くり返す業務をどう言葉に残すかで決まるということでした。
「AIを使っている」のに効率化を感じられない理由
AIを使い始めたばかりの頃は、質問するだけで十分に速くなった実感があります。ところが半年、一年と使い続けても、効率化の実感が横ばいになる瞬間が来ます。原因の多くは、うまくいった指示や構成がその場限りで消えていることにあります。良い回答が返ってきても、次に似た仕事をするときは同じ説明をもう一度一から入力し直す。積み上がるはずの経験が、毎回ゼロに戻ってしまいます。
もう一つの原因は、型が自分の頭の中にしかないことです。同僚に業務を渡すときも、自分がいないと同じ質の成果を再現できません。AIを使ってはいても、これでは仕組み化とは呼べません。
仕組み化とは何か。その場のAI活用との違い
仕組み化とは、AIに出した指示や手順を言葉として残し、次は呼び出すだけで同じ質の成果を再現できる状態を作ることです。その場のAI活用と仕組み化には、次のような違いがあります。
- その場の活用は毎回ゼロから説明する。仕組み化は一度作った型を呼び出す
- その場の活用は自分にしか再現できない。仕組み化は同僚にも渡せる
- その場の活用は改善が個人の記憶に頼る。仕組み化は型を見返して更新できる
プログラミングの知識は必要ありません。必要なのは、くり返している業務を一つ選び、うまくいった指示を言葉として残す習慣です。
非エンジニアが今日からできる4つのステップ
大きな仕組みを一度に作ろうとすると止まります。小さく始めて、使いながら育てるくらいがちょうどよいです。
- 繰り返している業務を一つ選ぶ(メール返信、企画書のたたき台、案内文の作成など)
- AIに一度その業務を任せ、良い出力が生まれた前提・聞き方・期待する形式を言葉として残す。残す内容は、①目的 ②相手・トーン ③期待する形式(長さ・構成) ④外してほしい点、の4行で十分です。案内文なら「Coeliaの初参加者向け・親しみやすく・150字以内・専門用語は使わない」のようにメモするだけで、次から同じ説明をゼロからする必要がなくなります
- 残した型を保存する場所を決め、次回は同じ型を呼び出すだけにする。保存先はメモ一枚でも、日々使っているドキュメントでもかまいません。大事なのは、次に使うときすぐ開ける場所に置くことです
- 使うたびに出力を見直し、型を少しずつ更新する
この4つを一周させると、AIとのやり取りは「毎回の質問」から「育てていく資産」に変わります。
一次体験:Coeliaの現場業務をAIで仕組みに変えてきた話
僕自身、AIを使い始めた頃は、案内文を書くたびに毎回同じ前提を一から説明し直していた一人でした。僕は2021年、新卒でサイバーエージェントに入社し、ABEMA LiveのiOSアプリ開発を担当しながらテックリードを経験しました。25歳でフリーランスへ転向し、26歳で株式会社Coeliaを設立しました。今はCoelia HPとobata-tomu.jpを、AIを駆使してチームで設計・開発・運用まで自社完結させています。Claude Codeをフル活用するようになってからは、AIのない時代と比べて1日の生産性・アウトプットが体感で数倍から数十倍に変わりました。仕組み化を重ねるほど、この感覚が積み上がっていきます。
Coeliaのイベント運営では、はじめましてカードや話題サイコロのように、進行役の技量に頼らず誰が担当しても同じ安心感を再現できる仕組みを大切にしてきました。同じ考え方を、AIを使った業務にも当てはめています。案内文、よくある質問への回答、イベントページの構成といった、くり返し発生する文章まわりの仕事は、思いつきで都度AIに聞くのではなく、うまくいった指示や構成を言葉にして残し、次は呼び出すだけで同じ質を再現できる形にしています。SEO・AIO対策も同じ発想で、Coelia HPと個人HPの両方で実践を積み重ねています。
この仕組みは完成形ではありません。案内文の型もFAQの型も、公開してから見直しを重ねて今も育て続けています。
よくある質問
非エンジニアでもAIで業務を仕組み化できますか?
できます。プログラミングの知識は要らず、くり返している業務を一つ選び、AIに出した指示や手順を言葉として残すところから始められます。
仕組み化と、その場でAIを使うことの違いは何ですか?
その場の活用は毎回ゼロから説明が必要です。仕組み化は、うまくいった指示や手順を保存し、次は呼び出すだけで同じ質の成果を再現できる状態にすることです。
どんな業務から仕組み化を始めるとよいですか?
週に1回以上くり返している業務が向いています。メール返信の型、企画書のたたき台、案内文の作成などから始めると、効果を実感しやすいです。
AIに任せきりにしても大丈夫ですか?
判断と最終確認は人が持つ前提で使います。叩き台とくり返し作業はAIに任せ、相手に合わせた調整と事実確認は自分が担うと、安心して仕組み化を進められます。
