退職の伝え方でつまずくとき、足りていないのは言葉ではありません。決まっていないのは順番のほうです! 誰に・いつ・どこまでを先に決めてしまうと、最初に口に出す一文は「お時間を10分いただけますか」だけで足ります! この記事で渡すのは3つです。①順番の決め方(3ステップの表)②そのまま使える切り出しの一文 ③理由を聞かれたとき・引き止められたときの返し方。辞めると決めていなくても大丈夫です! 順番が分かっているだけで、決めるときの重さがまるごと変わります! まだ気持ちが固まっていない段階なら、仕事に飽きたと感じたときを先に読むほうが早いかもしれません。
退職の伝え方は、言葉より順番で決まります
「なんて言えばいいか分からない」で止まっている時間、実は言葉を探している時間ではないことが多いです。誰に言うか・いつ言うか・どこまで言うかが決まっていないから、文が組み立てられない。順番が決まると、言葉は後から勝手についてきます!
まず3ステップだけ置きます。上から順に進めるだけで大丈夫です!
| 順番 | やること | 決まること | 飛ばしたときに起きること |
|---|---|---|---|
| ① | 自社の就業規則の「退職」の項を開く | 申し出の時期・様式・引き継ぎの決まり | 「何日前ならいいのか」を人に聞いて回る時間が続く |
| ② | 直属の上司に、時間だけもらう | いつ・どこで・2人で話すか | 先に周りへ伝わり、順番が前後した状態から話が始まる |
| ③ | 当日に伝える中身を3つへ絞る | 決めたこと/希望する最終出社日/引き継ぎの意思 | 相談と報告が混ざって話が長くなり、結論が次回送りになる |
表を上から読むと分かるのは、①と②はどちらも「伝える前」の作業だということです。伝え方に悩んでいる人ほど、③の言い回しから考え始めます。だからこそ①と②が効きます! ③が短く済むかどうかは、その2つで先に決まっているからです。
特に②は効きます! 時間をもらう連絡と、中身を伝える会話を分けるだけで、廊下やチャットの流れで切り出してしまう事故がなくなります。相手にとっても、心の準備がある状態で聞けるほうがずっと話しやすいです。
いつ言うかは、就業規則と法令の2か所に書いてあります
「退職は何日前に言えばいいですか」の答えは、手元の2か所に書いてあります。ここは一般論で埋めずに、確認先だけ正確に置きます。
1つ目は自社の就業規則です! 多くの会社が「退職を希望する場合は◯日前までに申し出る」という決まりを持っていて、様式(退職届の書式や提出先)まで書いてあることもあります。入社時に配られた資料か、社内のポータルで読めるはずです。
2つ目は法令です。労働契約のルールは国が定めていて、退職の申し出については民法(e-Gov法令検索)の第627条が、全体像は厚生労働省の労働契約(契約の締結、労働条件の変更、解雇等)のページが確認先になります。どの定めが自分の契約にどう当てはまるかは、この記事では判断しません。
ここで大事なことを1つ。この2つは読む場所が違うだけで、どちらが優先かをこちらで決めることはできません。判断が要る場面の相談先は、後半の「準備の前に、人へ相談したほうがいい場面」に置きました。
そのうえで、自分の希望日は出せます。就業規則に書かれた日数と、引き継ぎに必要そうな日数の両方を見て、無理のない日付を1つ出す。これだけで言い方が「なるべく早く」から「◯月◯日を希望しています」に変わります! 日付が1つ出るだけで、相手も段取りを組めるようになります。
今日の一歩は、これだけです。就業規則の「退職」の項を開いて、申し出の時期が何日前と書いてあるかをスマホのメモへ1行だけ書き写してください。辞めると決めていなくても大丈夫ですし、誰にも言わずにできます! この1行があるかないかで、いざというときの動きやすさがまるごと変わります!
最初の一文は「辞めます」ではなく「お時間ください」です
切り出し方でいちばん多い誤解は、最初のひと言で全部を言おうとすることです。最初に必要なのは、話す時間をもらうことだけ。
そのまま使える形にしておきます! 文面はコピーして、会社名や相手に合わせて言葉だけ差し替えてください。
お疲れさまです。ご相談したいことがあるので、10分ほどお時間をいただけないでしょうか。
今週か来週で、ご都合のよい日を教えていただけると助かります。
短いですが、これで十分に伝わります。「相談したいこと」という言い方は、中身を先に出さずに時間だけ確保できる形です。上司の側も、席の並びやオンライン会議の設定を先に整えられます。
状況によって言い方を変えたいときは、この3パターンで足ります!
- 出社していて、その場で声をかけられるとき:「少しご相談があるのですが、今日か明日で10分いただけますか」(用件は言わずに時間だけ)
- リモート中心で、チャットで連絡するとき:上の文面をそのまま送るのがいちばん早いです。チャットで送ってよいのは時間をもらう連絡までで、中身は口頭のほうが誤解が生まれにくいです
- 上司が忙しくて予定が押さえられないとき:まず「10分で終わります」と所要時間を先に書いて送り直します。それでも返事が来ないときは「来週の火曜か水曜の午後で、15分いただけないでしょうか」と日を2つ添えると決まりやすいです。そこまでやっても取れない日が続き、ふだんから予定を入れ合う関係なら、カレンダーの空き枠へ直接15分の予定を入れて上の文面を招待メッセージに添える手もあります。ここは上司の運用にもよるので、社内の空気を見て選んでください。
当日に伝える中身も、先に3つへ絞っておきます。①退職を決めたこと ②希望する最終出社日 ③引き継ぎはやりきるつもりであること。この3つを1分で言い切ってから、あとは相手の質問に答える形にすると、会話がまっすぐ進みます! ③は大げさに考えなくて大丈夫で、引き継ぐものが少ない時期なら「手順をまとめて残します」で十分です!
③を最初に自分から言えると、空気がかなり変わります。辞める話は、相手にとっては「これからの穴をどう埋めるか」の話でもあるからです。埋める側に回る意思を先に見せるだけで、対立ではなく段取りの会話になります。
理由と引き止めは、返す方向を先に決めておくと短く終わります
その場で考えようとすると長くなります。聞かれることは、だいたい4つに決まっています。先に方向だけ決めておけば、当日は思い出すだけで済みます。
| 聞かれること | 相手が知りたいこと | 短く返す方向 |
|---|---|---|
| どうして辞めるの? | 引き止めの余地があるのか | 前向きな理由を1つだけ。不満の列挙へ広げない |
| いつまで? | 引き継ぎと採用の段取り | 就業規則の日数と引き継ぎから出した希望日を、日付で1つ |
| 待遇を上げたら残る? | 条件で戻せるのか | 条件で戻る気があるかを、行く前に自分の中で決めておく。無いなら1回で線を引く |
| 次はどこ? | 同業か・競合か | 言える範囲でよい。決まっていないなら、そのまま伝えて問題ない |
この表の効きどころは、「決定」と「条件」を分けているところです。辞める・辞めないは決定の話で、給与や役割は条件の話。ここが混ざると、条件の話がそのまま延長戦になります。
理由の伝え方も、1点だけ押さえれば大丈夫です!会社へ伝える理由と、転職の面接で話す理由は、別の場面の話です。会社へは短く前向きに1つ、面接では自分の言葉で丁寧に。同じ文章を使い回す必要はありません。
前向きな1つの作り方は、「不満の裏返し」ではなく「やりたいこと」から書くと出しやすいです。たとえば「◯◯の経験を積みたくて、そこへ集中できる環境を選びました」。ここに会社の批判を足さないほうが、最後まで気持ちよく終われます。
もちろん、話して気持ちが変わることもあります。ここは「決めたあと」の話です。決めたことを動かさないと自分で選んだなら、引き止めが続いても繰り返して大丈夫です。同じ内容を、同じ温度で、静かに。声を大きくする必要はまったくありません!
ここまでの5行を1か所へまとめておきます。当日の持ち物は、これだけで足ります!
①時間をもらう:「ご相談したいことがあるので、10分ほどお時間をいただけないでしょうか」
②当日に伝える3つ:退職を決めたこと/希望する最終出社日/引き継ぎはやりきります
③理由を聞かれたら:「◯◯の経験を積みたくて、そこへ集中できる環境を選びました」
④引き止められたら:「悩んで決めたことなので、変わりません。引き継ぎは責任を持ってやります」
⑤条件を出されたら:戻る気が無いと決めているなら「条件の話ではないんです」で線を引く
この5行だけスクショしておけば、当日は見ながらで大丈夫です! 覚えようとするより、手元にある状態のほうがずっと落ち着いて話せます。
準備の前に、人へ相談したほうがいい場面
この記事は退職を伝える段取りの整理で、個別の契約についての法的な判断ではありません。ここまでは「自分で段取りできる」前提の話でした。次の状況に当てはまるときは、順番が変わります! 準備より相談が先です。
- ハラスメントを受けている・心身の調子が落ちている:切り出し方を工夫する話ではなくなります。まず社内の相談窓口か、産業医・かかりつけの医療機関へ。伝える段取りは、そのあとで間に合います
- 賃金の未払い・有給を取らせてもらえない・退職を認めてもらえない:ここは僕が答えを出せる範囲の外です。社内の相談窓口と、厚生労働省の総合労働相談コーナー(都道府県労働局や労働基準監督署内などにある無料の相談窓口)、そして専門家へ相談してください。
- 制度そのものが分からない:働く人向けの公的なQ&Aが、厚生労働省の確かめよう労働条件にまとまっています。解雇や退職の項目もあるので、先にここを見ると論点がはっきりします。
- まだ辞めると決めていない:先に決めるのは伝え方ではありません。いまの気持ちの正体を分けるところからです。仕事に飽きたと感じたときから始めると、順番が見えてきます。
- 先に異動の内示が来た:辞める話とは別の手続きが動いています。内示とはで、確認する順番だけ先に整えてください
この記事の順番がハマるのは、「気持ちは決まっていて、あとは言うだけ」で1週間以上止まっている人です! 止まっている理由が言葉ではなく順番なので、就業規則を1行メモした時点でだいたい動き出します。
ちなみに、辞めたあとの自分の呼ばれ方が気になったら第二新卒とはもどうぞ。次の入口の広さが分かると、決めるときの材料が増えます。
よくある質問
退職は、いつまでに伝えればいいですか?
確認先は2か所です。1つ目は自社の就業規則で、「◯日前までに申し出る」という決まりが書かれていることが多いです。2つ目は法令で、退職の申し出については民法第627条、労働契約のルール全体は厚生労働省の労働契約のページが確認先になります。どの定めが自分の契約にどう当てはまるかは、この記事では判断しません。就業規則を確認して、迷うなら厚生労働省の総合労働相談コーナーや専門家へ相談してください。
直属の上司より先に、人事へ伝えてもいいですか?
会社の運用によります! 一般には直属の上司が先で、そこから人事へ話が渡る流れが多いです。ただし就業規則に提出先が書かれている場合は、そちらに従ってください。ハラスメントが絡んでいて上司へ直接言いにくいときは、順番を変えて社内の相談窓口や人事へ先に相談する形でも大丈夫です。
メールやチャットで伝えてもいいですか?
時間をもらう連絡はチャットで問題ありません。中身のほうは、口頭(対面かオンライン)のほうが誤解が生まれにくいです。文字だけだと温度が伝わらず、意図しない受け取られ方をすることがあるからです。退職届などの書面は、会社の様式と提出先に従ってください。
退職理由は、正直に全部言わないといけませんか?
全部を話す義務はありません。会社へ伝えるのは、前向きな理由を1つで十分です! 不満をすべて並べても、こちらの負担が増えるだけで結論は変わらないことが多いです。伝えたい改善点があるなら、退職の会話とは分けて、面談やアンケートの場で出すほうが届きやすいです。
引き止められて、話が何度も終わりません。どうすればいいですか?
同じ内容を、同じ温度で繰り返して大丈夫です。「悩んで決めたことなので変わりません。引き継ぎは責任を持ってやります」。この形が、いちばん短く終わります。条件の提示が続くときは「条件の話ではないんです」と1回で線を引いてください。退職を認めてもらえない状態が続くなら、それは伝え方の問題ではないので、総合労働相談コーナーや専門家へ相談してください。