「これ、もっとこうすればいいのに」。仕事に慣れてきた社会人3年目は、業務改善や新しい企画のアイデアが浮かぶ場面が増えます。会議でそれを口にした途端に空気が変わったり、「今の業務を優先して」で終わったりした経験がある人は少なくありません。アイデアの中身より先に、周りをどう巻き込むかで結果が変わることを、僕はCoeliaの運営と会社員時代の両方から学びました。
若手の新規事業提案が通らない、本当の理由
提案が通らないとき、多くの人はアイデアの質を疑います。実際に差がつくのは、中身より前の段階、誰にどの順番で話すかです。一人で完成度を高めてから発表しようとするほど、周りは「知らないところで決まった話」として受け止め、慎重になります。
これは能力の差ではなく、人が関わっていない決定に距離を感じる、自然な反応です。自分ごととして関われた人ほど、その提案を守り、広める側に回ります。だからこそ、提案の作り方そのものを、一人で仕上げてから見せる形から、早い段階で人を巻き込みながら育てる形に変える必要があります。
提案を出す前に固めておく2つの判断軸
提案を形にする前に、次の2つを先に決めておくと、進め方に迷わなくなります。
- 最初の味方を誰にするか:決裁者ではなく、今その業務や市場に一番近い場所で困っている人を選びます。同じ景色を見ている人ほど、話が早く進みます。
- どこまでを自分の裁量で試せるか:全社展開の許可を最初から取りに行くのではなく、小さく検証できる範囲を先に区切ります。範囲が小さいほど、相手は「まずやってみたら」と言いやすくなります。
この2つを決めてから動くと、提案は「大きな決断を迫るもの」から「一緒に試せる小さな一歩」に変わります。
提案を通すための5つのステップ
- 今の仕事や身近な範囲で、実際に困っている人を一人見つけて話を聞く
- その人と一緒に、小さく試せる仮説を立てる
- 決裁者に見せる前に、影響を受ける現場の人へ共有し、意見をもらう
- 反対意見が出たら、理由を一つ具体的に聞いて、提案の設計に反映する
- 小さく試した結果を持って、本提案として決裁者に共有する
この順番の狙いは、決裁者に見せる時点で、すでに何人かが「知っていて、賛成している」状態を作っておくことです。一人の説得より、複数人の後押しの方が、提案は動きます。
一次体験:社外で巻き込み方を練習してから、会社の中でも同じ動きが使えるようになった
職種が違っても、提案を通す動き方の型は同じだと後で気づくのですが、僕がこの型を最初に体で覚えたのは、ABEMA LiveのiOSアプリ開発でテックリードを任されたときでした。テックリードの仕事は、技術力に加えて、小さな提案をチームに重ね、賛同を得ながら意思決定に巻き込んでいく仕事だと、今は捉えています。ここで学んだのは、開発でも運営でも、正しさより「使われ続けるか」で判断するということでした。どれだけ理にかなった提案でも、周りが自分ごととして関わっていなければ、使われないまま終わります。
25歳でフリーランスに転向し、26歳で株式会社Coeliaを設立してからは、この巻き込み方を日々の対話の中で自然に磨いていく機会が増えました。Coeliaは都内で毎週、月8回以上のイベントを開催しています。毎回、初参加の人を含む顔ぶれで場を作るため、仕組みだけでなく、その場にいる人を運営側へ巻き込む力が欠かせません。はじめましてカードや話題サイコロといった小さな仕組みも、参加者の反応を見ながら少しずつ手直ししてきた実感があります。
社内でいきなり大きな新規事業を提案するのは、経験がない人ほどハードルが高く感じます。だからこそ、社外の小さな活動で「一人に話を聞く、小さく試す、感想をもらって直す」という一連の動きを先に練習しておくと、同じ型を会社の中でも迷わず使えるようになります。Coeliaで参加者と重ねてきた対話がそのまま、社内の提案でも使う巻き込み方の土台になっています。
今週からできる、最初の一歩
今週やることは一つだけです。あなたのアイデアで一番影響を受ける現場の人を一人思い浮かべ、資料を作る前に、その人に「今こういうことを考えているんだけど、どう思う」と話しに行ってください。決裁者に見せるのは、そのあとで十分です。最初の一人が「それ、いいね」と言ってくれた瞬間から、提案は一人のものから、みんなで育てるものに変わります。
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よくある質問
社内新規事業の提案は、最初に誰に話せばいいですか?
決裁者より先に、その業務や市場に一番近い場所で困っている現場の人に話します。同じ課題を見ている人ほど話が早く進み、最初の味方になってくれます。
決裁者を説得する前に、何を準備すればよいですか?
全社展開ではなく、小さく検証できる範囲を先に区切ります。あわせて、現場の人から集めた意見を反映した状態にしておくと、決裁者は一人の思いつきではなく、複数人が関わった提案として受け止めます。
社外活動が社内での提案の練習になるのはなぜですか?
社外の小さな活動は、仕事の評価に直結しないため、一人に話を聞く、小さく試す、感想をもらって直すという一連の動きを、安心して繰り返し練習できます。その場を楽しんでいる相手との対話そのものに価値があるからこそ、動きが自然に身についていきます。この型を覚えると、社内の提案でも同じ動きを迷わず使えます。
提案が一度断られたら、どう次につなげればよいですか?
反対意見の理由を一つ具体的に聞き、提案の設計に反映します。断られた提案をそのまま諦めるのではなく、聞いた理由をもとに範囲を小さくして、もう一度試すところから再開できます。
新規事業ではなく、業務改善の提案でも同じ進め方でよいですか?
同じ進め方が使えます。規模の大小に関わらず、決裁者より先に現場の人を巻き込み、小さく試してから本提案にする順番は共通しています。
