ノートパソコンの制作物を仲間に見せながら役割分担を相談している20代社会人と「個人制作からチーム制作へ」の文字

「一人で作っていた個人制作が育ってきて、そろそろ仲間を増やしたい。ただ、どうやって役割を渡していけばいいのかが、最初の壁になります」。開発でも動画でも音楽でも、続けてきた人ほど、この壁にぶつかります。すべてを自分の頭の中で完結させてきた分、渡し方をどう決めるかが定まらないまま、結局また一人で作業する日が続きます。個人制作からチーム制作への移行には、特別な才能ではなく、役割分担・期限・公開・改善という4つの型があります。僕自身も、自社サービスの開発からCoeliaのイベント運営まで、AIも含めたチームで同じような型を意識しています。

なぜ一人で完結する制作は、あるところで頭打ちになるのか

個人制作には強みがあります。判断を一人で完結できるので、思いついたその日に手を動かせますし、途中で誰かに説明する手間もありません。ここまでは、続けてきた人ほど実感しているはずです。

ただ、続けるほど天井が見えてきます。時間は増えず、得意でない作業にも自分の時間を使うことになり、公開のペースは自分の気分に左右されます。完璧主義の傾向が強い人ほど、この天井に早くぶつかります。誰にも見せない段階で直し続けられるため、公開そのものが先延ばしになりやすいからです。

変化を避けたくなる心理も働きます。今のやり方を変える手間より、慣れた一人の作業を続ける方が心理的な負担が小さく感じられるからです。だからこそ、移行のタイミングは「もう限界だから」ではなく、意図して先に決める必要があります。

チーム制作へ移行するタイミングの見極め方

移行のタイミングは、次の3つが重なったところで判断できます。

  • 公開したいものが、自分の得意でない作業(編集、告知文、検証など)で止まっている
  • 同じ工程を、毎回違うやり方で進めている(判断基準が自分の中でも揺れている)
  • 公開の頻度を先に決めても、一人では守れない量になっている

3つのうち1つでも当てはまれば、移行を試す価値があります。すべてを一度に人へ渡す必要はありません。まずは1つの工程から、渡す練習を始められます。

個人制作からチーム制作へ進む4つの型:役割分担・期限・公開・改善

チーム制作への移行は、体制を大きくすることではありません。次の4つを順番に型にすることで進みます。

1. 役割分担:作業ではなく「渡せる単位」で分ける

役割分担は、作業を細かく割り振ることではありません。目的、完了の基準、渡す相手が分かる単位に区切ることです。「編集をお願いします」ではなく「この10分尺を、この構成案に沿って、金曜までに書き出しまで仕上げる」まで言葉にすると、相手は自分の判断で動けます。

2. 期限:完成度ではなく「公開する範囲」に合わせて決める

期限が守れない一番の理由は、期限を制作物全体の完成度に合わせているからです。今回公開する最小の範囲を先に決め、その範囲が完成する日を期限にすると、期限は現実的な約束になります。

3. 公開:完璧を待たず、区切って出す

公開は、制作の終わりではなく、改善の入口です。一人で作っていた時期は、公開の基準を自分の納得だけで決められました。チーム制作では、公開する範囲と基準をあらかじめ仲間と共有し、その基準を満たした時点で出す約束にします。

4. 改善:反応をもとに、次の役割分担へつなげる

公開したあとの反応は、次の役割分担の材料になります。伸びた部分、止まった部分を仲間と一緒に確認し、次のサイクルでは誰がどこを担当するかを、そこから決め直します。1回で完成させようとせず、公開と改善を繰り返す前提を最初から共有しておくと、チームは長く続きます。

一次体験:AIも含めたチームで、公開し続けている今の現場

僕は2021年、新卒でサイバーエージェントに入社し、ABEMA LiveのiOSアプリ開発を担当しながらテックリードを経験しました。25歳でフリーランスへ転向し、26歳で株式会社Coeliaを設立してからは、サービス開発もイベント運営も、自分一人で完結させない進め方を選んでいます。

coelia.jpとobata-tomu.jpは、AIをフル活用しながら、設計から開発、運用までチームで自社完結させています。体制を大きくすることが目的ではなく、役割をAIも含めた形で分け、公開してから直すサイクルを回すことを優先しています。ここまで紹介してきた型と、同じような発想でチームを回している実感があります。開発は「正しさ」より「使われ続けるか」で判断する、というのが僕の基準です。公開してから直す前提だからこそ、迷う時間を減らして前に進められます。

Coeliaは都内で毎週イベントを開催しています。開催日という期限が先に決まっているからこそ、毎回「出してから直す」サイクルが回り続けます。これも、個人制作からチーム制作へ進む型と同じ構造です。

今週から試せる、小さなチーム制作の一歩

  1. 今の制作物の中で、自分が最も時間を使っている工程を1つ書き出す
  2. その工程を「目的・完了の基準・期限」の3行で言葉にする
  3. 人が見つかっていなければ、AIに同じ3行を渡し、渡せる形になっているかを確かめる
  4. 次に公開する範囲と日付を1つ決め、その日までに整える最小の状態を決める

4つとも、大きな体制や特別な予算を必要としません。今の制作物の中で、今週から始められます。

よくある質問

個人制作からチーム制作へ移行する、一番簡単な最初の一歩は何ですか?

今自分が担当している作業を1つ選び、目的・完了の基準・期限の3行で言葉にすることです。役割分担は大きな体制づくりではなく、渡せる単位を1つ作るところから始まります。

仲間がまだ見つかっていない段階でも、この型は使えますか?

使えます。AIを含めた小さな体制でも、役割分担・期限・公開・改善のサイクルは同じように機能します。仲間が加わる前に型を練習しておくと、加わったときにすぐ渡せます。

公開の基準を下げると、作品の質が落ちませんか?

質を落とすことと、完成していない段階で公開範囲を区切ることは別です。小さく公開し、反応を見て直す前提を最初から共有すれば、質は公開後の改善サイクルで積み上がっていきます。

期限を決めても、いつも遅れてしまいます。どうすればいいですか?

期限を制作物全体の完成度に合わせるほど、遅れやすくなります。今回公開する最小の範囲を先に決め、その範囲が完成する日を期限にすると、守りやすい約束になります。

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