自己受容とは、いまの自分を「良い・悪い」で採点せずに、事実としてそのまま認めることです! できる自分を評価する自己肯定感とも、自分の特性を知る自己理解とも別物で、この3つの中でいちばん先に置けるのが自己受容だと、僕は捉えています。今日できる一歩は、自分について気づいたことを1つだけ、評価をつけずに書き出してみることです。
そもそも自己受容とは? 良い・悪いの採点を、いったん外すこと
「自己受容とは」で調べる人は、自分のことを一生懸命どうにかしようとしている最中のことが多いです。それ、すごくいいサインです! 自分に関心を向けられる人は、それだけで前に進む材料を持っています。なお、心身のつらさが続いているときのために、頼れる窓口をこの節の最後にまとめています。
自己受容とは、いまの自分を「良い・悪い」で採点せずに、事実としてそのまま認めること。この記事では、そう定義して話を進めます! できているところも、まだできていないところも、まとめて「いま、そうなっている」と確認するだけ。ここに評価は入りません。
言葉の整理をすると、僕は自己受容を「ありのままの自分を、条件をつけずに認めること」と捉えています。条件をつけない、というのが大事なところです! 「結果を出せたら認める」「人並みになれたら認める」は条件つきなので、条件が満たされない日には土台ごと消えてしまいます。裏を返すと、条件を外した認め方は、どんな日でも手元に残ります。
なぜ条件を外すと土台になるのか。評価には「他人」や「理想の自分」という基準が要るので、基準が動けば評価も一緒に動きます。一方で、事実の確認には基準が要りません。だから、うまくいかない日でも置いたままにできるんです! ここが自己受容のいちばん強いところだと、僕は考えています。
ちなみに、自分への評価に悩んでいるのは、あなただけではありません。こども家庭庁の「我が国と諸外国のこどもと若者の意識に関する調査(令和5年度)」(PDF)では、「私は、自分自身に満足している」に「そう思う」「どちらかといえばそう思う」と答えた日本の13〜29歳は、合わせて57.4%でした。残りの4割強は、「そう思う」側に入っていません。いっぽう同じ調査の報告書では、この割合は前回の平成30年度調査(実施は当時の内閣府)より12.3ポイント高くなっています! 自分への見方は、固定ではなく変えていけるもの。この記事は、その最初の一段の話です。
なお、ここで扱うのは日常の中の考え方です。治療や心理療法のプログラムとは別のものなので、心身のつらさが続いているときは、この記事の内容を試すより先に、医療・心理の専門家へ相談することを大切にしてください。厚生労働省の「まもろうよ こころ」に、電話やSNSで相談できる窓口がまとまっています。
自己肯定感・自己理解と何が違う? 3つを並べて整理する
自己受容は、自己肯定感や自己理解とよく混ざって使われます。似ているようで役割が違うので、いちど横に並べてみます! なお、この3語の切り分けは学術的な定義ではなく、自分の状態を整理するための僕の作業上の整理です。
| 見る軸 | 自己受容 | 自己肯定感 | 自己理解 |
|---|---|---|---|
| ひとことで言うと | いまの自分を事実として認める | 自分には価値があると感じられる | 自分の考え方や特性を知っている |
| 基準はどこにあるか | 自分の内側だけで完結する | 他人や理想と比べやすい | 自分の内側で完結する |
| うまくいかない日でも保てるか | ◎ | △ | ◯ |
| 成果やできることが必要か | 不要 | あると支えになる | 不要 |
| 3つの中で最初に置きやすいか | ◎ | △ | ◯ |
表の各行を1文ずつ補足します。ひとことで言うとの行=自己受容は認めるだけ、自己肯定感は価値を感じること、自己理解は知ること、と動詞がそれぞれ違います。基準はどこにあるかの行=自己肯定感だけが他人や理想を物差しに使いやすく、ここが揺れやすさの正体です。うまくいかない日でも保てるかの行=事実の確認は成果に左右されないので、自己受容がいちばん保ちやすくなります!成果やできることが必要かの行=自己肯定感は成果があると支えになりますが、自己受容と自己理解は成果ゼロの日でも始められます。3つの中で最初に置きやすいかの行=だからこそ順番として自己受容を先に置ける、というのが僕の整理です。
ここで1つ限定を書いておきます。自己受容を先に置いても、それだけで自信がつくわけではありません! 自己受容は土台であって、自信は行動と経験の側から積み上がってくるものです。土台と積み上げは別の仕事だと分けて考えると、どちらも進めやすくなります。
「認めたら成長が止まる」は本当?
自己受容の話をすると、必ず出てくる反論があります。「いまの自分を認めたら、そこで満足して成長が止まるのでは?」というものです。これはとても真っ当な問いです!
僕の答えは、逆です! 認めるというのは、現在地を確認する作業だからです。地図を持っていても、自分がどこに立っているか分からなければ、進む方向は決められません。「まだできていない」を事実として置けたとき、はじめて次の一歩が具体になります。
自分を採点し続けている間は、エネルギーの大半が「自分をどう見るか」に使われている。僕はそう捉えています。採点をやめると、そのぶんを「次に何をするか」へまわせるようになります!
もうひとつ限定を足します。自己受容は、評価そのものを禁止する話ではありません。仕事で成果を振り返るときは、評価は必要な道具です。分けたいのは、成果への評価と自分という存在への採点です。前者は仕事の中で使い、後者はいったん脇に置いておく。この線引きができると、フィードバックを受け取っても自分ごと否定された感じがしにくくなる、と僕は捉えています!
僕の場合は、書き出すところから始まりました
ここからは僕自身の話なので、あくまで一人の事例として読んでください。合う・合わないは人それぞれで大丈夫です!
僕自身、2021年に新卒入社を機に石川県から東京へ来ました。同期との出会いに恵まれ、他業界の人とも話すうちに、視野を広げたい気持ちが育っていきます。そして社会人3年目、仕事と東京での暮らしに慣れた頃に、「せっかく東京に来たなら、いろいろな人と会って視野を広げたい」と動き始めました。
僕にとって、人生の目的や目標が明確になったきっかけは3つありました。人と会うこと、本を読むこと、本当に求めていることを書き出すことです。このうち、採点をやめて現在地を見るこの記事の話と直接つながるのが、書き出すことです! 紙に書くと、頭の中では混ざっていた「事実」と「感想」を、分けて見やすくなります。
僕はもともと凡人です。特別な才能や環境やコネがあったわけではなく、人と本との出会いが変えてくれました。この数年で環境は何度か変わりましたが、変わるたびに、まわりの基準も「できて当たり前」の中身も入れ替わります。それでも変わらず手元に残るのは、いまの自分を事実として見られる状態でした。
気づく(メタ認知)、言葉にする(ジャーナリング)、戻る(レジリエンス)。この3つは僕の中でひとつながりの技術で、その下に土台として敷かれているのが、認める(自己受容)です。まず1本読むなら、書き出しの手順がいちばん具体的なジャーナリングの記事からがおすすめ! 自分の状態に気づく技術はメタ認知の記事で、落ち込んだ後の戻り方はレジリエンスの記事で、それぞれ詳しく紹介しています。
今日からできる、いちばん小さな一歩
大きく変えようとしなくて大丈夫です! 今日やることは1つだけ。自分について気づいたことを、評価をつけずに1行だけ書いてみてください。
コツは、形容詞ではなく事実で書くことです。次の表の左を右へ置き換えるだけで、読み返したときの重さが変わります!
| 採点で書いた自分 | 事実で書いた自分 |
|---|---|
| 今日はダメだった | 会議で発言できなかった |
| 自分は要領が悪い | 同じ資料に3時間かかった |
| またやってしまった | 同じ確認を2回した |
これを何日か続けると、自分がどういうときに落ち込み、どういうときに戻れるのか、輪郭をつかむ手がかりになります! できているかを採点する必要もありません。目安になる変化は3つ=①失敗した日に自分の性格の話へ行かなくなる ②人の成果を見ても自分の評価が動きにくくなる ③「いま自分はこう感じている」と現在形で言える。この3つが少しずつ増えてくれば十分です。
そこまで来たら、次は人に話す番です。書いたものを誰かに話すと、自分では気づけなかった見方が返ってくることがあります。僕が視野を広げられたのも、結局は人と会ったからでした。
よくある質問
自己受容とはどういう意味ですか?
いまの自分を「良い・悪い」で採点せずに、事実としてそのまま認めることです。ありのままの自分を、条件をつけずに認めること、と言い換えることもできます。特別な準備はいらないので、今日からそのまま始められます!
自己受容と自己肯定感は何が違うのですか?
自己肯定感は「自分には価値がある」と感じられる状態で、他人や理想と比べる形になりやすい分だけ日によって揺れます。自己受容は評価そのものを外すので、うまくいかない日でも保ったままにできます! 順番としては自己受容を先に置ける、というのが僕の整理です。
自己受容ができないと感じるときは、どうすればいいですか?
できていない、と判断すること自体が、すでに採点になっています。まずは1行だけ、形容詞を使わず事実で書いてみてください。「会議で発言できなかった」のように、起きたことだけを書きます。書けた時点でもう自己受容は始まっています!
自己受容と甘やかしはどう違いますか?
甘やかしは「改善の手を止めること」、自己受容は「現在地を確認すること」で、向きが違います! 自己受容は評価を禁止する話ではなく、成果への評価は仕事の道具として使いながら、自分という存在への採点だけをいったん脇に置く線引きです。現在地が見えるほうが、次の改善はむしろ具体になります。
自己受容は何から練習すればいいですか?
いちばん小さい練習は、1日1行、評価をつけずに事実だけを書き出すことです。「今日はダメだった」ではなく「同じ資料に3時間かかった」と書きます。書き出しのやり方をもう少し知りたい場合は、ジャーナリングの記事で手順を紹介しています。