キャリア相談で何を話せばいいか迷うときは、内容を思い出しながら話すのではなく、先に一枚のメモにまとめておきます。話す前の15分が、相談の時間を近況報告ではなく行動を決める時間に変わります。要点は下にまとめました。
なぜ「話す前の準備」で相談の結果が変わるのか
「今度キャリアの相談に乗ってもらえませんか」。予定を入れたところまでは良かったのに、いざ話し始めると「最近どうですか」から始まり、近況報告だけで時間が終わってしまう。社会人3年目の周りでよく聞く話です。相手が悪いわけではありません。話す側が、何を聞きたいかを言葉にできていないだけです。
相談の時間は、誰と話すかだけでなく、何を持っていくかで質が変わります。2026年はAIの活用が広がり、社外の実践者やコミュニティへ相談できる相手の選択肢も増えました。選択肢が増えたからこそ、限られた時間を行動へ変えられるかどうかは、話す前の準備で決まります。
相談前に一枚へまとめる5つの項目
書くのは箇条書きで十分です。次の5項目を、思い出しながら15分ほどで埋めてみてください。
- 現在地:今の仕事、役割、最近実感している手応えと迷い。良い面も迷っている面も両方書きます。
- 創りたい成果:この相談を通じて実現したい状態を一文にします。「転職したい」ではなく「3か月後、何をしている自分になっていたいか」まで具体にします。
- 試したこと:すでに動いたこと、調べたこと、試して分かったことを書きます。ゼロから聞くより、続きから聞けると対話が早く進みます。
- 迷う選択肢:比較している道を、2つか3つに絞って並べます。選択肢を並べすぎると、相談の時間が比較の説明だけで終わってしまいます。
- 今日決めたいこと:相談が終わったときに、何を決めて持ち帰りたいかを一つだけ選びます。
5項目のどれかが空欄でも大丈夫です。むしろ、言葉にできない項目こそ、その相談で一番確かめたいテーマです。準備した内容は、相手にとっての一次情報になります。具体的な情報を渡すほど、返ってくる答えも具体的になります。
記入例:15分で書けるシートの中身
例えば、社会人3年目でキャリアアップを考えている人なら、こんな書き方になります。
- 現在地
- 今の仕事には慣れてきた。後輩の指導も任され始めたが、次に何を伸ばせばよいかが決まっていない。
- 創りたい成果
- 3か月後、自分の企画で小さな成果を一つ完成させている状態。
- 試したこと
- 社内の勉強会に参加した。関連する本を2冊読んだ。行動にはまだ移せていない。
- 迷う選択肢
- 今の部署で企画を提案するか、社外のプロジェクトに参加してみるか。
- 今日決めたいこと
- どちらから動き始めるか、今週中の最初の一歩を一つ決める。
この形にしておくと、相談の相手は「どちらの選択肢にどんな判断基準があるか」から話し始められます。準備がない状態で「最近どうですか」から始めるより、同じ1時間でも決まることの数が変わりやすくなります。
一次体験:相談される側になって気づいたこと
僕は今、キャリアや独立の相談を受ける機会が多くあります。転職、副業、フリーランスへの転向、起業の最初の一歩。話を聞くのは好きなので、相談されると素直に嬉しい気持ちになります。
同時に、準備の有無で対話の中身が大きく変わることにも気づきました。状況を確認するだけで時間の多くを使う相談もあれば、今の状況と迷っている選択肢を先に一言で伝えてもらえて、その場で判断基準を一緒に確かめる時間に使える相談もあります。差はいつも、話す側の準備でした。
僕自身も、最初から次の一歩が見えていたわけではありません。2021年に新卒でメガベンチャーへ入社したときも、25歳でフリーランスへ転向したときも、26歳で株式会社Coeliaを設立したときも、次に何をすればいいか迷う瞬間がありました。だからそれぞれの節目で、すでにその道を歩いた人に話を聞いています。知らないと始まらない、知ろうとしなければ始まらない。これが僕の行動の起点です。準備して臨んだ相談ほど、次の一歩が具体的な形で残っています。
相談の最後に、今週の行動へつなげる
相談が終わったら、その場で「今週やること」を一つ言葉にします。次に会う予定まで決めてしまうと、気づきだけで終わらず行動に変わります。話した内容を忘れないうちに、シートの余白へ一行だけ書き足しておくのもおすすめです。
よくある質問
キャリア相談の前に何を準備しますか?
現在地、創りたい成果、試したこと、迷う選択肢、相談で決めたいことを一枚にまとめます。箇条書きで十分です。
シートに書き込む時間はどのくらいかかりますか?
15分ほどで十分です。5項目を思い出しながら箇条書きにするだけなので、相談の直前に埋めても間に合います。
迷う選択肢が3つ以上あるときはどうしますか?
上位2つに絞ってから書きます。選択肢を全部並べると、相談の時間が比較の説明だけで終わってしまいます。仮に2つまで絞ってから話すと、対話は選ぶ理由を確かめる時間に変わります。
起業相談やビジネスの相談にも使えますか?
使えます。「創りたい成果」を事業で実現したい状態に置き換えれば、キャリア相談でも起業相談でも同じ5項目で準備できます。
